ユーノス コスモ:世界唯一の3ローターエンジン搭載車。「走る宮殿」がオーナーに要求する、究極の愛と覚悟

MAZDA

RCD管理人の平成 継男です。

ユーノス 500の優美な世界から一転、今回は「マツダの夢」が極限まで高まった、究極のロマンカーをご紹介します。それは、「ユーノス コスモ」です。

MX-6、ユーノス 500と同じく、マツダの「5チャンネル体制」の頂点に君臨したフラッグシップクーペです。しかし、その中身は他の追随を許さない、世界で唯一無二のものです。

ユーノス コスモは、世界で唯一となる市販車「3ローター(3回転子)ロータリーエンジン」を搭載し、豪華絢爛な内装と、世界初の「GPSナビゲーションシステム」を搭載した、まさに「走る宮殿」でした。

この記事のポイント
  • 世界唯一の3ローターエンジン(20B)が生む途切れのない異次元のパワーフィールについて
  • 豪華な内装や世界初ナビを搭載した「走る宮殿」としてのコスモの価値について
  • 数百万円単位となる3ローターのオーバーホール費用と、AT故障という維持の壁について
  • 投機対象となっている現在の超高額な中古車相場と、所有の覚悟について

はじめに:マツダのロマンが頂点に達した瞬間

ユーノス コスモ(JC系)は、1990年から1996年にかけて販売されました。マツダが当時展開していた「ユーノス」ブランドの最高峰に位置し、その開発には、バブル期の潤沢な資金と「技術のマツダ」の情熱がすべて注ぎ込まれました。

この車の最大の存在意義は、「20B-REW型 3ローター・シーケンシャルツインターボエンジン」を搭載した、世界で唯一の市販車であるという点です。

  • 3ローター:通常のロータリーエンジンは2ローターですが、コスモはローターを一つ増やしたことで、20Bは2000cc換算で3000ccに相当する排気量を持ち、280psという当時の自主規制上限馬力を達成しました。
  • シーケンシャルツインターボ:RX-7(FD3S)と同じく、低回転域からスムーズにトルクを発生させる「シーケンシャル(段階的)ツインターボ」を採用。その加速は、「途切れない大トルクの波」と表現されました。

その豪華な内装と、異次元のパワーフィールから、ユーノス コスモは「ロータリーエンジン版の最高級GT」として、今なお伝説的な存在です。

1. 投機対象となるロマン:現在の中古車相場

ユーノス コスモは生産台数が極めて少なく、特に3ローターの20B搭載車は希少性が非常に高いため、中古車市場では投機対象となっています。価格は高騰しており、「隠れた名車」の枠を超えつつあります。

グレード別・現在の中古車価格帯(JC系)

ユーノス コスモは、3ローター(20B)と2ローター(13B)の2種類が存在します。

グレードエンジントランスミッション中古車価格帯(目安)傾向
20B Type S/E20B-REW (3ローター TT)4AT400万円~800万円以上本命。希少価値が極めて高い。程度の良い個体は1000万円に迫る。
13B Type S/E13B-REW (2ローター TT)4AT250万円~450万円3ローターより安価だが、こちらも高騰中。ATのみの設定。

【RCD管理人としての考察】

ユーノス コスモの真のロマンは、やはり「3ローター(20B)」にあります。

しかし、その維持費と価格は現実的ではありません。もし「コスモのデザインと雰囲気」を楽しみたいだけなら、比較的タマ数が多く、整備実績も多い13Bモデルも選択肢に入ります。

しかし、どちらを選んでも「究極の維持」が待っています。

2. 究極のロマン:3ローターと豪華な装備

ユーノス コスモは、技術、デザイン、装備のすべてが当時の日本車としては規格外でした。

2.1 世界唯一の3ローターエンジン(20B)

3ローターエンジンは、RX-7の13Bと比較して、ロータリー特有の「振動」が大幅に抑制されています。

  • フィーリング:大排気量のV8エンジンのような、図太く途切れのない大トルクを発生させます。レシプロエンジンでは味わえない、異次元の加速フィールと、澄んだ高周波サウンドが魅力です。
  • 構造的優位性:ローターが3つになることで、180度ごとに燃焼が発生し、エンジン全体でのバランスが向上。これが静粛性と滑らかさに貢献しました。

2.2 豪華絢爛な内装と「未来装備」

コスモは、その走行性能と同じくらい、内装の豪華さにも力を入れています。

  • 内装:本革やウォールナットのウッドパネルをふんだんに使用し、当時の日本のメーカーが考える「最高級の空間」が再現されています。
  • 世界初の装備:市販車として世界で初めて「GPS(全地球測位システム)ナビゲーション」を搭載しました。このナビゲーションは、現代のスマホと比べれば遅いものですが、当時の未来感を象徴する装備です。

2.3 徹底的なパーソナルクーペ

車体は全長4.8mを超える巨体ですが、後部座席は狭く、あくまで「2人+荷物」のためのパーソナルGTカーです。その低いスタンスとロングノーズの美しいデザインは、当時の日本車の中では異彩を放っていました。

3. 究極の現実:ロータリーとATの二重苦

ユーノス コスモは、その価格以上に、維持費が「究極」のレベルにあります。

3.1 3ローターエンジンのオーバーホール費用

ロータリーエンジンは、走行距離に関わらず、必ず「オーバーホール(OH)」*が必要となる宿命にあります。3ローターの場合、その費用は想像を絶します。

  • エンジンの摩耗:ローターの先端のアペックスシールが摩耗すると、圧縮が抜け、出力が低下します。
  • OHの費用:13B(2ローター)でも80万円~150万円程度かかりますが、20B(3ローター)の場合、200万円~300万円(状態による)の費用が必要になる可能性があります。
  • 整備工場:3ローターのOHを正確に行える工場は極めて限られており、専門のチューニングショップに依頼するしかありません。

3.2 4ATの信頼性と部品供給

コスモは全車4ATであり、ATの耐久性は、280psの大トルクを受け止めるには不十分です。

  • ミッション滑り:経年劣化によりミッションが滑るトラブルが多発します。
  • 部品欠品:4ATの制御部品や内部部品も欠品が多く、修理が困難です。強化ATやMT換装の改造例はありますが、費用は数百万単位になります。

3.3 燃費とランニングコスト

ロータリーエンジン、特に3ローターは燃費が非常に劣悪です。

  • 燃費:街乗りで3~5km/L程度。燃費を気にする車ではありませんが、ハイオクガソリン代は尋常ではありません。
  • オイル消費:ロータリーエンジンは構造上、オイルを燃焼室で消費するため、オイルの減りが早く、常に補充が必要です。
  • 自動車税:20Bは2000cc換算ですが、実際の排気量は大きいため、自動車税は3.0Lクラスと同等です。

【年間維持費の目安】

ガソリン代、オイル代、税金、保険に加え、ロータリーのOH積立金を考慮すると、年間100万円前後は覚悟が必要です。これは、高年式の欧州高級車に匹敵するレベルです。

4. コスモオーナーの「生の声」:コメント欄の反響

オーナーからの声

38歳・製造業
38歳・製造業

「20Bに乗っています。加速時の途切れないパワーフィールは、他の車では経験できません。特に高速道路での伸びは凄まじい。しかし、正直に言って、いつOHが来るかという恐怖と戦っています。貯金は常に300万円をキープしています。」

52歳・自営業
52歳・自営業

「内装の豪華さに惚れて買いました。当時世界初のナビも健在です(ほとんど使いませんが)。この車は『乗る』というより『所有する』喜びがすべてです。週末しか乗りませんが、ガソリン代とオイル代だけは異常です。」

38歳・製造業
38歳・製造業

「13Bコスモを所有していますが、ATの滑りがひどく、修理で断念しました。ロータリー本体のOHは頑張れても、古いATの専用部品がないのが致命的です。MT換装に踏み切るか、売却するか迷っています。」

5. まとめ:ユーノス コスモは「財力と情熱」を問われる車

ユーノス コスモは、世界唯一の3ローターエンジンという、マツダの技術的なロマンが凝縮された、日本車史における金字塔です。

その豪華な内装と異次元のパワーは、オーナーに「走る宮殿」を所有する喜びを与えます。

しかし、その究極のロマンは、「数百万円単位のOH費用」「極悪な燃費」「部品欠品の不安」という、究極の現実と常に背中合わせです。

ユーノス コスモを所有することは、もはや「趣味」ではなく「使命」に近いものです。この稀代の傑作を後世に残すための「財力と、ロータリーへの燃えるような情熱」がある方だけが、この車のオーナーとなる資格があると言えるでしょう。

「ロータリーサウンドを究極まで極めたい」そんな夢を持つ、私たち現役世代にとって、ユーノス コスモは究極の隠れた名車です。

【次の記事予告】

マツダのロマンシリーズが続きましたので、次回は少し現実に戻り、コンパクトなFFセダンでありながら「和製アルファロメオ」とも称された、「ユーノス プレッソ」(AZ-3)の記事を作成する予定です。小さなV6エンジンを搭載した、これもまた個性的な一台です。ご期待ください!

コメント

タイトルとURLをコピーしました