RCD管理人の平成 継男です。
マツダの個性派クーペを巡る旅(アルシオーネ SVX、MX-6、ユーノス 500、ユーノス コスモ、ユーノス プレッソ)から、いよいよ日本車史を語る上で欠かせない、「デートカーの帝王」へと視点を移します。
今回ご紹介するのは、バブル期にその人気が頂点を極めたスペシャリティクーペ、「ホンダ PRELUDE(プレリュード)」です。特に、ホンダの先進技術が凝縮された「3代目(BA 4/5型)」と「4代目(BB 1/4型)」を中心に深掘りします。
プレリュードは、その洗練されたデザインと、ホンダが誇る「4WS(四輪操舵)」、そして「VTECエンジン」という革新技術で、当時の若者、特に女性からの絶大な支持を集めました。
しかし、その栄光の裏側には、短命に終わったことによる部品欠品、そして特殊な機構の維持費という、旧車特有の現実が隠れています。
- 世界初の4WSやVTECエンジンがもたらす、異次元のハンドリングと走行フィールについて
- デートカーの帝王と呼ばれた、3代目・4代目の洗練されたデザインと輝かしい歴史について
- 4WSやVTEC機構、旧式ATの故障リスクと、部品欠品による高額な維持費用について
- SiR VTECモデルなど、人気グレードの現在の中古車相場と投機的価値について
はじめに:「スペシャルティカー」という夢

ホンダ プレリュードは、1978年から2001年まで生産されましたが、特に3代目(1987年~1991年)と4代目(1991年~1996年)は、日本のスペシャリティカーの代名詞的存在でした。
3代目は「低いボンネット」を実現するためにエンジンの搭載位置を工夫し、世界初の「機械式4WS」を搭載して話題を呼びました。4代目は、そこからさらに進化し、デザインを一新。
エンジンにはホンダが誇る「VTEC」を搭載し、まさにバブル期のホンダの技術力が凝縮されたモデルでした。
そのターゲットは、高性能を求めるスポーツ志向の若者ではなく、「いかに格好良く、快適に、異性を乗せて走るか」を重視する層。その高い商品力と先進性により、プレリュードは「デートカーの帝王」としての地位を確立しました。
1. 栄光と終焉:現在の中古車相場と人気モデル

プレリュードは、かつての中古車市場では安価でしたが、最近は人気モデル、特に「3代目4WS」と「4代目VTEC」搭載車は価格が高騰し始めています。
グレード別・現在の中古車価格帯(3・4代目)

| 世代 | グレード | エンジン | ミッション | 価格帯(目安) | 傾向とロマン |
| 3代目 | Si 4WS | B20A (2.0L 直4) | 4AT/5MT | 100万円~250万円 | 機械式4WSが最大のロマン。状態により価格差大。 |
| 4代目 | SiR | H22A (2.2L VTEC) | 4AT/5MT | 150万円~350万円以上 | 【本命】 VTEC搭載車は希少性が高く、価格高騰中。 |
| 4代目 | Si | H22A (2.2L NA) | 4AT/5MT | 80万円~180万円 | VTECなし。維持費を抑えつつ4代目のデザインを楽しみたい層向け。 |
【RCD管理人としての考察】
プレリュードの技術的ロマンを追求するなら、「4代目のSiR VTEC」が最良です。
当時のホンダが誇る最高のFFエンジンと、電子制御4WSが搭載されている可能性があります。また、3代目の「世界初の機械式4WS」も、機構マニアには見逃せないロマンです。
2. ホンダの先進技術:4WSとVTECの融合

プレリュードの魅力は、その時代をリードした革新的な技術にあります。
2.1 プレリュードの代名詞:4WS(四輪操舵)
プレリュードの4WSは、ホンダの技術力を世界に知らしめた機構です。
- 3代目の機械式4WS: ステアリングの操舵角に応じて、後輪が前輪と同位相または逆位相に動く機構を、機械的なギア比の調整のみで実現しました。低速での小回り性と高速での安定性を両立させました。
- 4代目の電子制御4WS: 電子制御となり、速度や操舵角に応じて最適な後輪の操舵角をより緻密に制御。特に、4代目の4WSは、FF車でありながら、異次元の安定性とシャープさをドライバーに提供しました。
2.2 4代目に搭載された名機:H22A型 VTECエンジン
4代目の最上位グレードSiRに搭載されたH22A型エンジンは、ホンダが誇る可変バルブタイミング・リフト機構(VTEC)を備えていました。
- フィーリング: 低回転域では実用的なトルクを、高回転域ではカムが切り替わり、一気に高出力を発生させる「ホンダ VTECサウンド」が最大の魅力です。2.2L NAでありながら、当時としては驚異的な200ps以上を絞り出しました。
- FFスポーツの頂点: 高出力なVTECと、電子制御4WSの組み合わせにより、プレリュードSiRは、当時のFFスポーツカーの頂点の一つに数えられました。
3. プレリュードオーナーに突きつけられる「維持」の現実

華々しいロマンを持つプレリュードですが、その先進技術こそが、現代のオーナーにとって最大の維持の壁となっています。
3.1 4WSシステムの整備と部品欠品
4WS機構は、プレリュード最大の魅力であると同時に、最大の弱点です。
- 3代目機械式: 部品の欠品は深刻で、特にギアボックス内部の部品が破損すると、修理が困難です。専門の修理工場を探すことが必須となります。
- 4代目電子制御式: 電子制御モーターやセンサーの故障が多発します。これらの制御部品が廃盤になっているため、中古部品を探すか、2WS化(4WS機構の撤去・固定)を行う必要があります。4WSが故障すると車検に通らないため、維持には常に費用が伴います。
3.2 VTECエンジンの整備性とATの耐久性
H22Aエンジン自体は頑丈ですが、VTEC機構や周辺部品の維持には手間がかかります。
- VTECソレノイド: VTECを制御するソレノイドバルブの故障はVTECの切り替わりに影響し、高額な修理が必要になる場合があります。
- ATの信頼性: 多くのプレリュードはAT車ですが、当時のホンダのATは耐久性に難があり、特にVTECの大パワーを受け止める4ATは、ミッション滑りが発生しやすいです。ATのオーバーホールには数十万円の費用がかかります。
3.3 外装・内装部品の欠品
3代目と4代目は、曲面を多用した個性的なデザインゆえに、専用の外装部品が多いです。
- 外装部品の絶望: バンパー、ヘッドライト、テールランプなどは、欠品が深刻です。特に4代目の独特な内装の電装パネルやメーター周りの部品も廃盤が多く、内装の維持は困難を極めます。
【年間維持費の目安】 維持の難しさ、特に4WSやVTEC、ATの故障リスクを考慮すると、修理積立金を含めて年間40万円~60万円程度は見ておくべきでしょう。
4. プレリュードオーナーの「生の声」:コメント欄の反響
オーナーからの声

「3代目の機械式4WSを今も維持しています。低速での異常な小回り性能と、高速での安定感は、最新の車では味わえない独特のものです。ただし、先日4WSのブーツが破れ、部品交換ができず、専門のショップを探すのに苦労しました。ロマンの代償は大きいです。」

「4代目を新車で乗り、手放した後にまた中古で買い直しました。内装の古さは否めませんが、あの当時のホンダの輝きが凝縮されています。当時のATはやはり弱く、知人のプレリュード乗りは皆ATの修理を経験しています。」

「4代目のSiR(MT車)に乗っています。VTECが切り替わった瞬間の加速とサウンドは最高です。しかし、購入後すぐに4WSの警告灯が点灯し、結局2WS化することになりました。部品さえあれば完璧な車なのですが…。」
5. まとめ:プレリュードは「技術の集大成」への愛を試される車
ホンダ プレリュードは、「世界初の機械式4WS」から「VTECと電子制御4WSの融合」に至るまで、当時のホンダの技術力の粋を集めたスペシャリティクーペです。
「デートカーの帝王」としての華やかなロマンは、今も色褪せません。
しかし、この車を現代で維持するということは、「4WSやATという複雑な機構の故障リスク」と「部品欠品の不安」を背負うことです。
プレリュードを所有することは、単なる旧車の趣味ではなく、「時代を彩ったホンダの先進技術への深い理解と、その維持に惜しみなく情熱と費用を投じる覚悟」が問われます。
「ホンダ VTECサウンドと、異次元のハンドリング」を低価格帯で味わいたい、私たち現役世代にとって、プレリュードは最高の選択肢の一つと言えるでしょう。
【次の記事予告】 ホンダのFFスポーツが続きましたので、次回は同じくホンダの技術が詰まった軽自動車、「ビート(BEAT)」の特集を予定しています。当時のホンダが持つエンジンの究極の技術と、カプセルデザインのロマンに迫ります。ご期待ください!



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