ユーノス プレッソ/AZ-3:小さなV6を積んだ「和製アルファロメオ」。官能的なエンジンと優美なデザインを持つ、FFコンパクトクーペ

MAZDA

RCD管理人の平成 継男です。

ユーノス コスモという「究極のロマン」を味わったところで、今回は少し現実に戻りつつも、マツダらしい個性が光るコンパクトクーペをご紹介します。

次にご紹介するのは、「ユーノス プレッソ」(兄弟車:オートザム AZ-3)です。

この車は、バブル期のマツダが展開した「5チャンネル体制」の中で、ユーノス店とオートザム店から販売されました。コンパクトなFFクーペでありながら、当時のマツダが誇った「小さなV6エンジン」を搭載し、その優美なデザインと軽快な走りで「和製アルファロメオ」とも称されました。

しかし、この車もまた、時代の波に飲まれて短命に終わってしまいます。

この記事のポイント
  • 「和製アルファロメオ」と呼ばれる、優雅なデザインと軽快なFFハンドリングについて
  • 世界最小クラスのV6エンジンが奏でる、官能的で澄んだ高回転サウンドについて
  • プラグ交換の工賃や部品の欠品など、小さなV6ならではの維持の難しさについて
  • V6・5MT車の高い希少性と、現在の現実的な中古車相場について

はじめに:コンパクトなボディに詰め込まれたマツダの夢

ユーノス プレッソ(EC系)およびオートザム AZ-3は、1991年から1998年頃まで販売されました。

ロードスター、RX-7、ユーノス 500など、個性が強すぎる車が並ぶマツダのラインナップの中で、プレッソは「若者向けのスタイリッシュでパーソナルなコンパクトクーペ」というポジションを担っていました。

最大の魅力は、全長4.2mを切るコンパクトなボディに、マツダが独自開発した「1.8L V6エンジン」を搭載した点です。

  • V6エンジン:当時のコンパクトカーが直列4気筒を搭載する中、あえて多気筒のV6を採用。これにより、直4では得られない滑らかで澄んだ官能的なエンジンサウンドを実現しました。
  • デザイン:ヨーロッパのコンパクトクーペを思わせる流麗で丸みを帯びたデザインは、非常に評判が良く、その優雅さから「和製アルファロメオ」という愛称で呼ばれました。

しかし、当時の日本市場では、この「小さな高級・個性派クーペ」というコンセプトが受け入れられず、販売は低迷。兄弟車のAZ-3も同様に短命に終わり、現在では、コアなマツダファンに愛される存在となっています。

1. 絶滅危惧種:現在の中古車相場とV6 MT車の価値

ユーノス プレッソ/AZ-3は、生産台数自体が少なく、登場から30年以上が経過しているため、現在、中古車市場のタマ数は極めて少ないです。

しかし、価格はまだ異常な高騰はしておらず、現実的な価格帯で手に入れることが可能です。

グレード別・現在の中古車価格帯(EC系)

プレッソ/AZ-3は、V6エンジン搭載車と、よりベーシックな直4エンジン搭載車に分かれます。

グレードエンジントランスミッション中古車価格帯(目安)傾向
V6モデルK8-ZE (1.8L V6 NA)4AT/5MT70万円~150万円本命。V6サウンドとMTの組み合わせは希少で高値。
直4モデルB5-ZE (1.5L 直4 NA)4AT/5MT40万円~80万円経済的だが、プレッソの最大の魅力であるV6サウンドはない。

【RCD管理人としての考察】

プレッソを選ぶ最大の動機は、間違いなく「1.8L V6エンジン」のフィーリングにあります。

この小さなエンジンが奏でる官能的なサウンドは、一度体験すると忘れられません。さらに、V6エンジンを5MTで操作できる個体は極めて少なく、もし見つかれば、それは非常に価値のある一台と言えます。

2. プレッソのロマン:小さなV6と「歌声」

ユーノス プレッソの魅力は、そのサイズからは想像できない「贅沢なエンジン」と「軽快なハンドリング」に集約されます。

2.1 世界最小クラスの市販V6エンジン(K8-ZE)

プレッソの1.8L V6エンジンは、当時世界最小クラスの市販V6エンジンでした。

  • 技術的挑戦:限られたエンジンルームにV6を搭載するため、エンジンの全長を極限まで短縮する設計が施されました。これは、当時のマツダが持つエンジニアリングの粋を集めた挑戦でした。
  • サウンド:直列4気筒には不可能な、高回転域での澄んだ「歌声」のようなサウンドが特徴です。コンパクトクーペでありながら、多気筒ならではの滑らかなフィーリングが楽しめます。

2.2 軽快なフットワーク

プレッソは、MX-6やユーノス 500よりも車体が小さく軽量であるため、軽快な走りと優れた俊敏性を持っています。

  • ハンドリング:素直で応答性の良いハンドリングは、当時のマツダのFF車の特性を最大限に活かしたもので、ワインディングロードでの楽しさは格別です。
  • デザインとの調和:優雅なデザインでありながら、決して遅くなく、走りの楽しさを兼ね備えている点が、この車を「和製アルファロメオ」たらしめています。

2.3 プレッソとAZ-3の違い

基本的に共通の車ですが、販売チャネルによって外装の意匠や装備が異なります。

  • プレッソ(ユーノス店):より上質な雰囲気。
  • AZ-3(オートザム店):より若々しく、スポーティな雰囲気。どちらを選ぶかは、好みのデザインによりますが、V6エンジン搭載車は両チャネルに存在しました。

3. プレッソオーナーに突きつけられる「愛すべき欠点」と「維持の現実」

プレッソは愛すべき個性を持つ一方、その特殊なエンジン構造ゆえに、維持には特有の難しさがあります。

3.1 整備性の悪さとV6プラグ交換

MX-6やユーノス 500と同様に、FFのタイトなエンジンルームにV6を横置きしているため、整備性は最悪です。

  • プラグ交換:特にリアバンク(運転席側)の3本のプラグ交換は、インテークマニホールドを脱着しなければならず、工賃が非常に高額になります。DIYでの交換はほぼ不可能とされています。
  • タイミングベルト:V型エンジン特有のタイミングベルト交換も、工賃が高くなりがちです。

3.2 部品供給の厳しさ

生産期間が短く、メジャーなモデルではないため、部品の廃盤は進んでいます。

  • 専用部品:特にV6エンジン専用のセンサー類や、**ボディ外装部品(バンパー、ランプ)**は、すでに廃盤になっているものが多く、中古部品や海外(北米市場)からの部品輸入に頼らざるを得ません。
  • 内装部品:内装の樹脂部品なども劣化が進んでおり、欠損すると代用品を見つけるのが困難です。

3.3 V6エンジンの熱対策と電装品

コンパクトなエンジンルームにV6が詰め込まれているため、熱がこもりやすい傾向があります。

  • 熱による劣化:ハーネスやゴム部品の劣化が早く進むため、定期的な点検と予防交換が必須です。
  • 電装品:古いマツダ車に共通して、エアコンやパワーウィンドウなどの電装系トラブルも発生しやすいです。

【年間維持費の目安】

1.8L V6エンジンは自動車税が比較的安価ですが、V6特有の高額な整備工賃(プラグ交換など)と、部品欠品による修理の困難さを考慮すると、修理積立金を含め、年間30万円~40万円程度は見ておくべきでしょう。

4. プレッソオーナーの「生の声」:コメント欄の反響

オーナーからの声

38歳・製造業
38歳・製造業

「AZ-3のV6 MTに乗っています。サイズは小さいですが、運転席に座るとロングノーズのスポーツカーに乗っている気分になります。何より高回転での**『クォーン!』というサウンド**が最高で、これ以上の車は考えられません。プラグ交換で工賃を言われた時は、流石に目を疑いましたが(笑)。」

52歳・自営業
52歳・自営業

「ロードスターも持っていますが、プレッソのV6はまた違った良さがあります。優雅なデザインが気に入っています。ただ、先日車検に出したら、**『O2センサーが廃盤のため、中古品で対応しました』**と言われ、部品の心配が尽きません。」

38歳・製造業
38歳・製造業

「デザインに一目惚れ。この価格帯でこんなに美しいデザインと、多気筒エンジンが手に入るのは奇跡です。古い車なのでトラブルは覚悟していますが、パーツはMX-3(北米名)として探すと見つかることもあります。」

5. まとめ:プレッソは「サウンドとデザイン」への愛を問われる車

ユーノス プレッソ/AZ-3は、「コンパクトなボディに多気筒のV6エンジンを搭載する」という、当時のマツダの贅沢な夢が凝縮されたFFクーペです。

「和製アルファロメオ」と称される優美なデザインと、V6エンジンが奏でる官能的なサウンドは、オーナーに日常の中での「特別な喜び」を与えます。

しかし、その小さなV6は、高額な整備費用と部品欠品の不安という現実を突きつけます。

プレッソを所有することは、「整備性の悪さや部品の欠品」という愛すべき欠点を許容できる、深い愛情が必要です。その困難を乗り越えた時、あなたは唯一無二の「コンパクトV6サウンド」という報酬を得ることができます。

「小さくても、官能的で美しい車に乗りたい」。そんな夢を持つ私たち現役世代にとって、ユーノス プレッソは最高のコンパクトクーペと言えるでしょう。

【次の記事予告】

マツダの個性的クーペが続きましたので、次回は同じくバブル期に登場した、ホンダの究極のスペシャリティカー、「ホンダ PRELUDE(プレリュード)」の4WSモデルにスポットを当てたいと思います。デートカーの帝王の光と影に迫ります。ご期待ください!

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